正しい女たち/千早茜
なんのきっかけか分からない。けれど絶対に自分の趣味じゃない本を手に取ることがある。
タイトルに惹かれたとか、表紙が目についたとか、単純な理由もあるのだろうけれど、なんかそれだけじゃない気がする。
この本はまさに。
本当は、人間の醜いところや汚いところから目を背けたくて、ずっとキラキラした繊細な小説を読んでいたい。
本当は、って書いたけど、本当の本当のところは人間の醜いところもきちんと知って、向き合って対処方を知りたいって思ってるのかな。
だから、この本を読むことになったんだと思う。
きっとこれが縁ってやつで、今の自分に必要なことなんだと思う。
読んでみて、あくまで小説の中のフィクションだけれど、自分にも現実に起こりうるような、チクっとすることを突きつけられた。
タイトルだけを見ると、なんだかドロドロギラギラした内容なんだろなって想像するけど、実際読んでみた感想は違う。
なんというか、チクっとする切なさと同時にほんのちょっぴり幸福感があるような感じ。
だめだ、全然うまく表現できない笑
うまく表現できないから、もう無理に表現するのやめよう。
自分の中で消化できてないから、うまく紹介できないんだろう。そして、なにより語彙が足りない。
いや、それができたらサラリーマンやめてライターにでもなろう。
今は、とりあえず、曖昧なまま、ぼんやり受け止めておこう。
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本の感想ならこうやって曖昧なままでいられるのにな。
仕事となるとそうはいかない。曖昧なことが許されない。ってか曖昧なものってみんな苦手なんだと思う。
はっきり明確な方が分かりやすくていいもんね。曖昧なものって複雑で難しくて理解できないからめんどくさいもんね。曖昧なものは管理できない。
そのめんどくさいが、嫌、ってなっちゃうんだろな。嫌、を我慢してるからしんどくなって感情的になって、ぶつかってしまうんだろう。
好きなことなら、嫌を我慢できる。嫌なことだから、嫌を我慢できない。なんか矛盾してること言ってるような笑
曖昧なままでいる、分からないままでいるって、不安だ。はっきり明確に具体的にしたい欲求が出てくる。特に勉強が大好きな理系にはそういう欲求が強い。それが行動を起こす原動力にもなっているのだけど。
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やべ、大分話が逸れた。
この本は6つの短編に分かれていて、その中の、「幸福な離婚」って話がすごくすごくすごく良かった。
離婚を控えてる若い夫婦の話なんだけど、別れを意識してから、改めてお互いのことを思いやるようになって、離婚っていう悲しいことが近づくことで、逆に幸せを感じれるようになる。
特に後半での、あることをきっかけに、ふと旦那が言った「いきなりは、つらいよな。」ってセリフでゾクッとした。
その一言に全てが集約されていて、同時にブワッと、この言葉の裏にある感情が想像させられた。すごい体験をした。
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他の人のレビューを見ると、内容が非現実的すぎるだとか、悪意に次ぐ悪意で共感できないとかいわれてるけど、そんなことない。
帯のメッセージとか、表紙に引きずられ過ぎてどっぷりダークな印象になっているだけだと思う。
表現が過度ではあるけれど、友達に対する執着とか、老いに対する恐怖とか上手く表現されてると俺は思った。
ということで、執着、離婚、セックス、老いとかのキーワードが引っかかる人にはおすすめです。
貸して欲しい人は言ってください。
以上
高橋央でした。